卒業論文の書き方/テーマ、文献・資料の集め方、提出について
卒業論文は、4年間の学習の総まとめであり、ひとつのテーマについて成果をまとめるものである。
4年生の春にはおおよそのテーマを決め、4年生の春学期のうちに、関係する文献や資料を集めて読む。
そのテーマについての基本的な知識をまとめ、研究史をたどり、問題点を発見し、
それに対する自分の主張・考え方、解釈などを打ち出す。
10月下旬~12月上旬頃にかけて本文を作成してゆく。12月中頃には「注」を整備する。
原稿は普通はパソコン(word 、一太郎など)で作成する(今は手書きは不可)。
●【テーマ選び】
①研究文献・資料が適当に集められる分野やテーマを選択することが望ましい。
文献・資料が全然なかったり、集めるのが困難だったりすると、研究自体を進める事が出来ない。
ただし自分の力で調査研究する心構えと意志があり、なおかつそれを実行できるならば、
テーマそれ自体が非常にユニークなものを選ぶことは、
オリジナリティーという点で高く評価されることも多い(例:実地調査によって卒論を書く例)。
逆に、あまりにも有名で膨大な数の研究がすでに存在するテーマや分野を選ぶと、
たいていのことはすでに誰かがどこかで言っており、自分独自の主張・解釈を考え出すことが難しい。
せいぜい「概説」や「まとめ」だけに終わってしまう。
またそうした膨大な数の研究の文献・資料を集め、読むだけで大変な労力を必要とする。
②テーマや分野はできるだけ狭くて特定の、細かいものを選ぶとよい。
テーマがあまりに大きかったり、漠然としたものであると、何をどう書いてよいのかわからなくなる。
文献・資料の収集も困難となる。
×「フランスについて」→◎「13世紀フランスの大聖堂の建築様式と装飾の関わりについて」
×「ニーチェについて」→◎「ニーチェの『権力への意志』における「超人」の概念について」
×「西洋美術について」→◎「レオナルド・ダヴィンチにおける遠近法の出現とその意義について」
×「フランスの教会について」→◎「シャルトル大聖堂におけるゴシック様式の彫刻とステンドグラスについて」
×「イタリアのファッションについて」 →◎「18世紀のイタリアにおける宮廷と貴婦人の衣服について」
×「ゲームについて」→◎「プレイステーションに登場するドラゴンについて」
×「宮崎駿のアニメについて」
→◎「宮崎駿のアニメ『紅の豚』に登場するヨーロッパ風の街並みと日本人の西洋のイメージについて」
●【研究を進める手続き】
①おおよそのテーマが決まったら、まずそのテーマや分野についての知識を得なければ話は進まない。
簡単に知識を得るためには、以下のものを利用すると便利。
インターネット(WEB)検索サイトは「google」「yahoo」「goo」などなど。
「Wikipedia」は情報ツールとして用いるのはよいが、卒論に「コピペ」で使用はダメ。
平凡社世界大百科事典(新旧の2版がある)
ブリタニカ大百科事典(説明が多くてていねい)
専門分野の各種事典類(西洋史事典、哲学事典、経済学事典、人名辞典、地名辞典などなど)
その分野の各種入門書、概説書の類
(『西洋史概説』『西洋建築入門』『宗教学を学ぶ人のために』などなど)
②次に、そのテーマや分野についての「研究史」「学説史」を知る。
つまりそのテーマについて、誰が、いつ、どこで、どのようなことを
言っているのかを知らなければならない。
他人がどんな主張をこれまでやっているのかが分からないと、自分の主張を考え出すことができない。
概説書や各種論文の注や参考文献リストなどを参考にして、なるべく論文や文献を集める。
本ではなく、論文をいくつ読んだかが、卒論を書くときの内容の差となって表れる。
他の研究者が論文をどのように構成し、ストーリーを作り、自分の主張を打ち出しているか、参考にするとよい。
●【文献・資料の集め方】
※本のタイトルだけで探すのは限界がある。
例えばジャンヌ・ダルクについての文献を集める場合、
本のタイトルに「ジャンヌ・ダルク」という言葉が現れている本だけを探すのではなく、
タイトルにはないが内容にジャンヌ・ダルクについての記述があるものも、
片っ端から探さなければならない。この作業がなかなか大変である。
①文献・書籍の収集には次のような方法がある。
・インターネットで探す。
東海大学図書館 https://library.time.u-tokai.ac.jp/
国立国会図書館 https://www.ndl.go.jp/
NDL-ONLINE(国立国会図書館オンライン検索) https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/
国立国会図書館サーチ https://iss.ndl.go.jp/
国立情報学研究所(NII)による国内文献情報のデータベース「CiNii」(サイニー)
https://ci.nii.ac.jp/
紀伊國屋書店 Book Web https://www.kinokuniya.co.jp/
日本の古書 https://www.kosho.or.jp/
アマゾン・ジャパン https://www.amazon.co.jp/ →海外各国のAmazonのサイトにも飛べる
海外古書 http://www.abebooks.com/
・書店で直接探す。東京の大きな書店をいくつか歩き回るのがよい。お勧めは以下のような書店。
新宿の「紀伊国屋書店」(東口・南口)「ジュンク堂」(東口)「ブックファースト」(西口)
神田神保町の「三省堂」「東京堂書店」「書泉グランデ」
池袋西武デパート地下の「リブロ」、
池袋東口「ジュンク堂」、池袋西口東武デパートの上の「旭屋書店」
東京駅八重洲口の「八重洲ブックセンター」など。
・古書店で探す。神田神保町の古書街、高田馬場の古書街など。
・図書館で探す。大学図書館、公立図書館(お勧めは町田市立図書館や都立図書館)など。
最終手段として国立国会図書館(国内の本はほとんど所蔵。ただし禁貸し出し。閲覧とコピーのみ)。
・海外の図書・文献は、東海大学図書館にて、実費にてコピーや現物の取り寄せが可能。その場合は海外のどの
国のどの図書館でその文献が所蔵されているか調べる必要がある。
それは東海大学図書館WEBの「TIME-OPAC」で調べられる。
アメリカ全国図書館、イギリス国立図書館、フランス国立図書館などの蔵書は、それぞれのWebサイトで検索。
※本の一部分をコピーしたときには、必ずその出典情報(著者名、タイトル、出版社名、出版年、頁数など)を
そこに控えておくこと。これを忘れてはならない。
②論文の収集は次のような順序で行う。
・現在は国会図書館のWebで検索可能。上記「インターネットで探す」を見よ。
・そうして調べた論文を、今度は東海大学図書館のウェブで検索し、希望する論文が掲載されている大学紀要・
雑誌・研究論文集などが、東海大学図書館に所蔵されているかどうか調べる。
・もしも所蔵されているならば、図書館カウンターで請求し、出して来てもらったものを、必要ならコピーする。
コピーした時には、必ずその論文の出典(著者名、タイトル、掲載紀要・雑誌名、掲載年月日、号数など)を
そこに控えておくこと。これを忘れてはならない。
・論文データベース・サービス「CiNii(NII論文情報ナビゲータ[サイニィ])」https://ci.nii.ac.jp/
検索が便利。論文自体の入手も可能なものが少なくない。
●提出期限は12月10~20日頃の予定。
提出はワードファイルをPDFに変換し、Teamsに提出。
11月頃に、より詳しい提出要領が学科から発表される。
毎年、USBメモリーが読み込めなくなったといったことがしばしば起きている。
データは必ずバックアップをとること。卒論を書く際には、その日に原稿データの上書き更新するたびに、
バックアップの方も上書き更新すること。
出来れば提出期限の2~3日前までに提出してしまうことを強く勧める。
●字数は12000字以上(本文)。
資料、図版、参考文献リストなどはそこには含めない。
図版や絵はデータファイル(ページ)の本文の中に埋め込むか、巻末に。
資料はページ用紙裏面に貼るか、巻末に回す。
資料や参考文献リストなどの分量は自由。
本文の最初にタイトル、氏名、卒論指導教員名を記した表紙を一枚作ること。
ファイルの形式はA4横書き。
書式は1行40字×縦40行くらいがよい。
注は、それぞれのページの下に付ける「脚注」形式か、本文のあとにまとめて記す「後注」形式。
「ワード」には便利な「脚注機能」がある。
1月中頃に、3年生に向けての卒論発表会がある。
1人15分程度で、卒論の大まかな概略・あらすじを話してもらう。
形式は、昨年度はZoomにて行われたが、今年度に関しては未定。
1月中旬~下旬の指定の日に主査(卒論指導教員)と副査の教員による口頭試問が行われる(1人約15~20分)。
そのうえで卒論の合否が決定される。卒論が合格しない限り卒業は認められない。